SCANDALOUS BLUE 5 [SCANDALOUS BLUE]

 げっとしたばかりのパソコンに、コーヒー牛乳をこぼした高宮です、こんばんは。

 いやはや、ほんと、やばかった。このままパソコンが昇天してしまうのではないかと焦りましたよ。
 たぶん、大丈夫だとおもいたい(苦笑)

 今回もSCANDALOUS BLUE の続きです。ぜんぜんキュカズがベタベタしてないので、そろそろラブコメが書きたくて仕方ありません。ってか、誰か素敵なキュカズを書いてくれないかしら…



SCANDALOUS BLUE 5


翌朝、特に予定もなかったのでカズは目覚ましをかけずに眠っていた。玄関の扉が閉まるような音が聞こえて目を覚ました。
 カレンダーを確認すると、今日はキューマがショップの店員日だった。
朝食をすまし、だらだらとソファーで読書をしていると、キューマが駆け込んできた。何も言わずにソファーに座っていたカズの前に立ち、読んでいた本を取り上げた。
「なんで、キャディの更新をしてないんだよ」
「しばらく離れようと言っただろ」
「専属キャディの契約をやめるとは聞いてない」
「たまたま契約が切れるだけだ。キャディとしてホールを回らないなら、雇っててもしかたないだろ。それとも、村で何かあったか教える気になったか」
 そういわれるとキューマはカズから視線をはずした。その隙にキューマから本を奪い返し、読書を再開した。

 キューマが村から帰ってきて6日目。今日も二人は会話をかわさずに、キューマはショップの仕事に出かけていった。 
カズはパンヤをやる気も出なかったので、そのまま居間で本を読むことにした。キューマと一緒にいると心苦しいのに、自分が家に帰ってきた時にキューマが居間にいるとほっとしている自分に苦笑していた。
「意地を張らなければ良かったか」
そう呟いて本を閉じる。
その時、扉をたたく音が聞こえてきた。キューマならノックしないで入ってくるし、それ以外の人がくる予定もなかった。誰だろうと思いながら扉を開けると、見知らぬ男が立っていた。服装からするとキューマやロロとおなじリベラ族だろうか。
「どなた、ですか」
訝しげな表情で男を見ると男は苦笑しながら軽く会釈をする。
「私はリベラ族の村長で、ロロの父親だ。キューマのことで君に相談したいことがあってきたのだが、時間はあるだろうか」
「キューマのことですか」
「そう、彼のことだ」
いきなりリベラ族の村長が自分の家を訪ねて来たことに驚いたが、キューマが悩んでいることが村長までも巻き込むようなことになっていることにも驚いた。
ロロの父を居間に案内し、紅茶を用意する。テーブルについた彼は、一口飲んで話し始めた。
「そういえば、君は記憶喪失だったね」
いきなり聞かれて、カズは戸惑うような表情を浮かべる。自分の記憶がないことは秘密ではないけれど、誰でも知っているものでもなかった。自分の親しい関係かあるいは自分を助けてくれた村人くらいしか知らないはずだ。
「一番古い記憶はなんだい」
何故そんなことを聞くのだろうか、この人は何を知りたいのだろう。カズの中で不安が広がる。
「それは、キューマのことと関係ないような気がしますが」
「そのことが、関係しているのだよ」
だから話してくれと続けた。カズが話さないことには、キューマについては聞けない様子だった。一度深呼吸をして、カズはその時の状況を話し始めた。
「海岸で傷だらけで倒れていた所を、どこかの村人に助けられました。酷い傷を負っていましたがそこで治るまで置いてもらい・・・傷がよくなってから、ここの家を譲ってもらって住んでいます」
「そうか」
「それが何か関係しているんですか」
「君は、どうしてそんな傷を負ったと思う?」
質問には答えずに、村長は質問を返してきた。
「わかりません。記憶がありませんので」
やや自棄になりながら返答する。
「少し前にルー族という村が壊滅的な被害を受けて、数多くの村人が死傷した事件があったんだ。そのなかには海に流された人もいたようだね」
カズは無言で彼をみた。
「原因は魔王の力の暴発だった」
「大昔に勇者によって魔王は倒されたと聞いています」
「そう。勇者によって一度は倒されたものの、今も魔王は転生を繰り返しているのだよ。ル ー族の神官は魔王の転生体が誰かを知りそれを封じようとしたのか、それとも覚醒を促そうとしたのかわからないが、それが原因で事件はおきたようだ。魔王は何度生まれかわろうとも赤い髪と金色の瞳をしているそうだよ」
「赤い髪も、金色の瞳も俺だけではありません」
赤い髪に金色の瞳なんて、自分以外にも島の中にいっぱいいる。その情報だけで自分を魔王呼ばわりされても困ると、カズは否定する。
「では、逆に聞こう。シャイニングサンド、ロストシーウェイ、ディープインフェルノ。これらのホールを回ったときに何か起きなかったかい」
「それは・・・」
「君たちがDIを回っている時に、ドラゴンが逃げたそうだね。よく、襲われなかったね」
どうして、このことを知っているのだろう。机の下でカズは両手を握り締める。
「誤解がないよう言っておくが、例え君が魔王の生まれ変わりだからといってどうする訳ではないんだ。だから、そんなに怯えないでくれ。覚醒していなければ魔王の生まれ変わりでも日常生活に問題ないのだよ。ただね、キューマは別なんだ。私たちリベラ族は精霊の声をきく一族で、特に彼はその能力が高いんだ。ゆくゆくは私のあとを継いでもらいたいと思っている。それなので、魔王の気と混じってしまうのは・・・ね、少々困るのだよ」
そういって、苦笑を浮かべた。
自分たちの関係をも知っているような態度に。カズの頬が熱くなる。
「あなたがたは、どう、したいのですか」
その台詞を待っていたかのように、村長の目が細められ、彼の望む言葉を発した。
「君から離れるように、言って欲しい」


2011-05-13 22:13  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

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