SCANDALOUS BLUE 9 [SCANDALOUS BLUE]

 お久しぶりです。明けましておめでとうございます←
今年初めての更新となりました。
 瀕死のサイトに遊びにきていただけて、ほんとうにありがとうございます。

 中途半端いくない、ということで、SCANDALOUS BLUE シリーズは完結できるようがんばります。
SCANDALOUS BLUE 9


 パーティ当日、ロロはキューマを先に他の村人と一緒に送り出し、まだ残っていた村長の元へと向かった。
「まだ家にいたのかい、ロロ」
「お父様にお話があります」
「なんだい」
「カズに魔王のことを話したのはお父様ですよね。彼を悩ませてキューマを村へ返させたのでしょう」
「それは、村のためでもあるんだよ」
「村のためだったら何でもしていいはずはありません。それに、精霊の声を聞く者はキューマ以外にもいます」
「だが、あの才能は・・・」
父親の言葉をさえぎって、ロロは言葉を続けた。
「キューマ以外に才能がなくて、人を不幸にしてまで精霊の声を聞きたいリベラ族なら、このまま精霊の声を聞けなくなってしまえばいいんです」
娘の言葉に村長は言葉を失う。
「ロロの言うとうりね」
ロロの後から現れたのは彼女の母親だった。
「母様」
ロロの母親は、村長に諭すように話しかけた。
「誰かを不幸する私たちに、精霊たちは囁いてくれるかしら。ルーの一族の守護精霊である火の精霊や魔王の支配下にいる闇の精霊も最近ずっと不安定でしたわ。私たちがどれだけ訴えかけても改善はありませんでしたよね。あの魔王の生まれ変わりの少年が不安定なのも原因でしょう。キューマが彼の元にいることで安定するのならば、それはパンヤ島の幸せにも繋がります」
そう言われて、村長は小さく溜息をついた。
「私だけが悪者か」
「そんなことないわ。このおかげで、キューマは絆の深さを知ることが出来たんですもの」
彼女はにっこりと微笑んだ。

会場には結構な人数が集まっていた。
女性陣は赤を基調とした個性的で華やかな衣装をまとっているが、男性陣は全員が赤いベストに白いシャツ、赤いラインのついた黒いパンツであった。
みんなが同じ衣装を着ていても、人がいっぱいいても、キューマはすぐにカズの姿を見つけることができた。
しばらく会わないうちに痩せたかな、と、キューマはつぶやいた。

なるべくカズに気が付かれない様にと少し離れた場所にいたが、ずっと見つめていたためカズと視線が合ってしまた。その瞬間、カズの視線が揺らいだ。
カズに駆け寄りたいのをこらえ、笑みを浮かべる。カズも視線は逸らしたがこの場から逃げ出すことはなく、それ以上お互い近付きもせずにいた。
 パーティが始まってしばらくすると、ロロ達が到着した。
キューマの姿を確認すると、ロロは笑顔で駆け寄り耳元で囁いた。
「もう、村から出ても大丈夫よ。村長も納得してくれたわ」
「ほんとうなのか?」
「ええ。だけど、あなたに命令があります。村長代理として伝えます。『魔王の生まれ変わりに属する精霊を鎮め、パンヤ島の精霊すべてが安定するよう祈りなさい』わかりましたか、キューマ」
彼女の言葉に、キューマは驚きの表情を隠せなかった。

盛り上がって誰も周りを気にしなくなった頃、カズが静かに会場を抜け出した。それを視界の端に捕らえたキューマはその後を追おうと歩き出すと、クーがこちらを見ているのに気がついた。
「泣かすなよ」
口をぱくぱくと動かして、彼女は微笑んだ。


2012-03-15 19:36  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

  ※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
 
魔王様の猫SCANDALOUS BLUE 10 ブログトップ

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。