SCANDALOUS BLUE 10 [SCANDALOUS BLUE]
こんばんは、うっかり壁に指をぶつけて爪をちょびっとかけてしまった高宮です。
いやはや、爪マジイタイw
ひっかかるほど長くはないんだが…こんなんで爪をデコった日にはかたっぱしから引っかけること間違いなしです(苦笑)
やっとSCANDALOUS BLUEシリーズ完結です。
ちょっとずつ書き直していたら、進まなくなって放置していまいましたが、なんとか終わりを迎えられました。
うん、この話以降はキューマもカズもラブラブになるんだよ。だって障害ないもん(いや、人的障害はあるか。ケンとかケンとかケンとかw)
皆様、シリーズ最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
これからも亀の歩みですが、よろしくお願いいたします。
自分自身中途半端はよくないと思っているので、書き途中の話も完結に向けていこうと思っています。しばらくお付き合いくださいませ。
SCANDALOUS BLUE 10
パーティ会場の外は雪。会場の近くにある東屋でカズは柱に背を預けてじっと空を見上げていた。
「カズ」
キューマの声に驚いてカズが振り返る。自分が出てきたことを気が付かれていたとは思っていなかったようだ。
キューマを目の前にして、カズの驚いた表情がすぐに辛そうにゆがめられる。
視線を外して地面に降り積もった雪へと視線をずらし軽く首を振り、キューマに背を向けて歩き出した。
「カズ、会いたかった」
東屋を出る前に、後からカズを抱きしめる。
「離せ」
振り向きもせずに答える。
「嫌だ」
「お前は、俺なんかに触れたら駄目なんだ」
「駄目じゃない」
嫌がるカズを振り向かせ、頬を押さえてキスをする
「ずっとこうしたかった。触れたかった」
カズは首を振り、キューマの腕の中からでようと身をよじる。
「本当に駄目なら、オレを突き飛ばして。大嫌いだといって」
動きが止まり、カズがキューマを見つめる。
「ほら、オレは力をいれてないよ」
その言葉に、カズは泣きそうな表情を浮かべて、首を振る。
逃げないカズの顔を上げさせて、もう一度口付ける
「オレはね、カズじゃなきゃ駄目なんだ。カズ以外いらないんだ。カズはどう思っているの。何も言ってくれなきゃ、わからないよ。オレはね、村にいた間ずっとカズのことを考えてた。いらないって言われたけど、好きじゃないって言われたけど、オレはやっぱりカズじゃないとダメなんだ。たとえ、カズが魔王の生まれ変わりだとしても、オレには必要なんだ」
抱きしめていたカズの身体が硬くなる
「俺は魔王の生まれ変わりだから、ダメなんだ。おまえを汚してしまう」
「それは、誰に聞いたの。村長?でも、オレはカズがいなかったら不幸になるよ。だって、カズにいらないって言われて村に帰った後のオレ、酷かったんだぜ。食事もしたくないし、なにかもどうでも良かったし。精霊の声は聞こえてたけど、意味をなさないって言うか、何でこんな声聞いているのかなって思ってた。だから、オレのこと嫌いじゃなかったら、一緒にいて欲しい」
そういわれたカズはキューマの肩に顔を寄せ、小さくつぶやいた。
「俺も、お前と一緒にいたい」
その言葉を聴いたキューマは、もう一度カズの顔を上げさせて口付けした。
「だいぶ冷えちゃったな」
屋根しかない東屋では、身体の熱を奪うのには十分だった。
「さ、オレたちの家に帰ろう」
「いいのか、村に帰らなくて」
「ああ。ロロが上手くやってくれたみたいだから、大丈夫」
そういって、カズの頬に口付ける。
「クーに声掛けないと・・・」
「それも大丈夫。ここ出てくる前に『泣かすなよ』って釘刺されたから。さ、帰ろう」
そういって、キューマは冷たいカズの手を握って歩き出した。
家につき、コートを掛けながらキューマが一緒に風呂に入ろうと誘ってきた。
「え」
「ほら、お互い身体冷えちゃってるじゃん?早くお風呂に入ったほうがいいとおもうんだよね」
そういい残すと、キューマはバスルームにむかった。
バスタブにお湯を張り、タオルや着替えを準備し終わった頃に、もう一度カズは確認を取った。
「本当に一緒に入るのか」
「なに、カズはオレに風邪を引いてもらいたいの?」
「先にお前が入ればいいだろ」
「オレはカズに風邪を引かせたくないし、俺も風邪引きたくないの」
そういって、カズを脱衣所に押し込んだ。
「うわ、ちょっとまて、できる、自分で出来るから」
なかなか脱ごうとしないカズに痺れを切らして、キューマがベストのボタンに手を掛けた。カズはその手を叩き落として、先ほどまでの躊躇いが嘘のように豪快に脱いだかと思うと、バスルームに消えていった。
「可愛いなぁ」
くすりと笑って、キューマも彼の後を追う。
中に入ると、カズはシャワーを浴びていた。久しぶりに見たカズの背中は、ここを出る前よりも、若干細くなっているように見えた。
「ほわぁあ」
「あ、すまん、つい」
「ついで、人の背中を触るか!スケベ、エロ!」
顔を真っ赤にしてキューマとの距離を取ろうとする。そんなことお構いなしにキューマはボディタオルにボディソープを付けて泡立て始める。
「洗ってやるから機嫌直せよ」
「それで機嫌が治ると思ってんのか、お前は」
満面の笑みのキューマからボディタオルを取り上げてからバスタブに突き落とす。
バスルームでの攻防はしばらく続いていた。
「は~、疲れた」
キューマは背伸びをしながらバスルームから出てきた。結局、二人でばたばたとしていたため、身体は温まったがゆっくりとすることはできなかったのだ。
「誰のせいだ、誰の」
ゆっくり出来なかったことで、カズはちょっと不機嫌だった。
そんなカズにキューマは優しく笑ってキスを送る。何度もキスをされ、カズはくすぐったそうに笑った。
「今日は一緒に寝よう」
耳元で囁くキューマに、カズはくすりと笑って自分から口付けた。
「えっ」
めったにカズからキスをしてもらえなかったので、この不意打ちにキューマは驚きの表情をした。そして、カズはキューマの唇に人差し指をあてる。
「これからもお前と一緒に生きていきたい。だから、ひとつ約束して欲しい。もし、俺が魔王になって変わってしまうのなら。その時は、俺を殺してくれ」
カズの目は真剣だった。キューマは自分の唇を押さえている指を、やさしく包んでキスをして、今度はカズの唇にキスをした。
「・・・わかったよ。だから、それまでは一緒にいてくれよ」
おしまい
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